転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「シェイラ」

「……」

プイッとそっぽを向いてしまった。
あれ?まだ機嫌が悪いのかな?
シェイラの教室の前の廊下でずっと抱きしめていたから。
「恥ずかしいからやめて」と言われてもまだ離さなかった僕が悪かったね。
でも僕を気にしてチラリと見ている。

「今日は本を読む予定じゃなかったの?」

クレアから勧められた本を読みたいと言っていたから、ふたりでソファーに座り、それぞれお互いに本を読むことにしていた。
気まぐれなシェイラは予定通りにいかないことが多い。
今は本を読む気分ではなくなったようだ。
僕は自分で持っていた本を閉じた。

「おいで」

微笑みながら両腕を広げてシェイラを見つめる。

「……」

ポスンッと僕の腕の中に入ってきた。
今は甘えたい気分のようだ。

綺麗な黒髪を撫でようとしたら、手をパシッと軽く叩かれた。
まだ僕からは触らせてくれないらしい。
でも怒っていると示しながらも甘えてくる。
僕の胸にくっついている愛しいシェイラ。

たとえ引っ掛かれても、こんなに甘えて懐いているのは僕にだけ。
そんなとても可愛い、黒い子猫ちゃんに僕は今日も夢中だ。


< 79 / 187 >

この作品をシェア

pagetop