愛人家
「パパって、本当に人間が好きなの?」
「ああ、もちろんだよ」
「例えばあのお婆ちゃんは?」

 わたしの問いに即答するパパに遠くにいるお婆ちゃんを指差した。

「老いによる白髪と皺が素晴らしい。杖をついて歩いているから、僕がエスコートしてあげたい」
「じゃあ、あそこのおじさんは?」

 今度は少し離れた場所にいる、お腹が出ていて髪が少し薄いおじさんを指差す。

「ふくよかなお腹がチャーミングだね。あの髪型も良いけど、彼に似合うように整えたいな」

 全てわたしを可愛いと言っていたテンションで話すパパに引いてしまう。

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