その物語のタイトルはいま君の掌の中に
他人に自分の心の一部を話すのは初めてで緊張する。私は何度か深呼吸を繰り返した。
「私……恋愛小説書いてるの……。理由は恋愛小説が流行りだからってだけ。一人でも多くの人に私の文章を読んでほしくて……私は此処にいるよって、生きてるんだよって伝えたくて……でも……」
何故だか目頭が熱くなってくる。
「うん……ちゃんと聞くから……ゆっくりでいいよ」
蒼は、こちらを見ずに晴れ渡った空と同じ髪色を揺らしながら波が寄せて返すのを眺めている。
「……でもね、私……恋したことないの。両親が離婚しててお母さんいないし、お父さんともうまくいってない。だから家族の愛情も正直よくわからない。愛情の定義も知らない上に、誰からも想いを寄せられたことも寄せたこともない私が書いた恋愛小説なんて、きっと誰の心にも届かない……それなのに認めて欲しくて無意識に誰かのマネして、どこかで見たような文章書き連ねて、そんなの誰にも見つけてもらえないのにね。必要とされる訳ないから……そんな当たり前のことにさっき気づいて……心ごと全部……捨てたくなったの」
いくら頑張っても、いくら心が叫んでも誰にもみつけてもらえないから。蒼は暫く黙ってからボソリと呟いた。
「……俺も少しだけ……分かるかな」
「え?」
「……勿論全部じゃない。月瀬は俺じゃないし、俺は月瀬じゃないから。でも俺も心の中の将来の不安とか燻ってるだけで吐き出せない見えない何かに苛ついた感情とかをさ、唄にして心を表現して誰かに認めてもらいたかったんだけどさ……最後にしようと思って出した楽曲コンテストで見事に落選して、なんか虚しくなった」
虚しい、苦しい、悲しい、その感情だけがぐるぐる回ってどこにもいけなくて心に毒が回るみたいにこの世と自分に絶望する。
そんな感覚を私以外の誰かも感じていたことに私は驚いた。
「私……恋愛小説書いてるの……。理由は恋愛小説が流行りだからってだけ。一人でも多くの人に私の文章を読んでほしくて……私は此処にいるよって、生きてるんだよって伝えたくて……でも……」
何故だか目頭が熱くなってくる。
「うん……ちゃんと聞くから……ゆっくりでいいよ」
蒼は、こちらを見ずに晴れ渡った空と同じ髪色を揺らしながら波が寄せて返すのを眺めている。
「……でもね、私……恋したことないの。両親が離婚しててお母さんいないし、お父さんともうまくいってない。だから家族の愛情も正直よくわからない。愛情の定義も知らない上に、誰からも想いを寄せられたことも寄せたこともない私が書いた恋愛小説なんて、きっと誰の心にも届かない……それなのに認めて欲しくて無意識に誰かのマネして、どこかで見たような文章書き連ねて、そんなの誰にも見つけてもらえないのにね。必要とされる訳ないから……そんな当たり前のことにさっき気づいて……心ごと全部……捨てたくなったの」
いくら頑張っても、いくら心が叫んでも誰にもみつけてもらえないから。蒼は暫く黙ってからボソリと呟いた。
「……俺も少しだけ……分かるかな」
「え?」
「……勿論全部じゃない。月瀬は俺じゃないし、俺は月瀬じゃないから。でも俺も心の中の将来の不安とか燻ってるだけで吐き出せない見えない何かに苛ついた感情とかをさ、唄にして心を表現して誰かに認めてもらいたかったんだけどさ……最後にしようと思って出した楽曲コンテストで見事に落選して、なんか虚しくなった」
虚しい、苦しい、悲しい、その感情だけがぐるぐる回ってどこにもいけなくて心に毒が回るみたいにこの世と自分に絶望する。
そんな感覚を私以外の誰かも感じていたことに私は驚いた。