聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

わぁっ、すごくいい香り…!



半開きになっていた時から何となく感じてたけど、お店の中に入るとより一層強く香った。



ツヤツヤに磨かれた大理石の床を踏む度に、ローファーの靴音が響き渡る。



なんだか別世界に来たみたい…。



でも…本当に私なんかがこんな素敵なお店に来てもいいのかな。



なんだかとても場違いな気がして、今さら怖気付いてしまう。



「あのっ、紫呉さん。私…本当にここに入って大丈夫ですか?」



不安になって聞いてみると、紫呉さんは訳が分からない、とでも言いたげな顔で首を傾げた。



「翠が入ってはいけない場所なんて、俺の目が届かない危険な場所くらいですよ?まぁ、俺がいてもいなくてもダメですが…。翠がこの場に存在するだけで空気が綺麗になるんですから、店側は得しかありません。逆に感謝されるべきですよ」
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