聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

でも、やっぱり紫呉さんとはまた違ったカッコよさが仁さんにはある気がする…。



思わず仁さんの顔をじぃっと見つめていたら、ずっと黙っていた紫呉さんが「仁さん」と呼んだ。



「会って早々、俺の彼女をたぶらかすのはやめてもらえません?その色気なんとかしてください」



「えっ…?し、紫呉さん…っ?」



た、たぶらかすって…そんなことされてない気がするけど…。



紫呉さんの仁さんに対する態度がいつもより悪くて、ちょっと焦ってしまう。



「たぶらかすってお前なぁ…何言ってんだよ。わざわざ紫呉の彼女を誘惑するほど、こちとら飢えてねぇっつーの」



「翠の前でそういう下品なこと言うのも本当にやめてください。翠の耳が汚れるでしょう?」



「あーはいはい、わーったよ、うるせぇなぁ…。どんだけ過保護だよ…お前は翠ちゃんの父親か?」



「はぁ?彼氏ですってさっきから言ってるの、聞こえてませんでした?もし難聴でしたら、耳鼻科の受診をおすすめしますよ」



………この二人って、仲がいい…んだよね?



私が口を挟む間もなく言い合っている紫呉さんと仁さんを見守りながら、少し不安になってくる。
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