聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
一歩踏み込んだら喧嘩になってしまいそうで、見てるこっちがヒヤヒヤしてしまう。
「まったく紫呉は……ああ言ったらこう言うところ、そろそろ直したほうがいいんじゃねぇ?そんなんだと翠ちゃんに愛想つかされるぞ。なぁ?翠ちゃん」
「えっ?わ、私ですか…?」
ため息をつきながらこちらに話を振ってきた仁さん。
それに紫呉さんは、同じくため息をついて返した。
「翠にこんな態度をとるわけないに決まってるでしょう?そもそもの話、翠と他の奴らを比べること自体がおこがましいんですよ。翠と一緒にいて嫌な気持ちになることなど、まず有り得ない」
息継ぎなしに言い切った紫呉さんの表情は、なぜかとても誇らしそうで。
わ、私もちゃんと言っておきたい…!
それに釣られて、紫呉さんにも仁さんにも、きちんと否定したいと思った。
「私が紫呉さんに愛想をつかすことも、絶対ありません…!逆に、私が飽きられちゃうんじゃないかって心配になるくらいで…。でも、紫呉さんはそんな心配も吹き飛ばしてくれるんです。だから…紫呉さんがずっと見ていてくれるように、私も頑張りたいんです」
……って、あれ?
一通り言い終えてから、二人の方を交互に見てハッとした。