聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「お姉ちゃっ…」
「しーっ!静かに。そこから出るよ」
涙をポロポロとこぼして私に抱きつこうとするあーちゃんの口に、そっと指を当てた。
この部屋の奥からは、紫呉さんが相手にしている人たちの怒鳴り声が聞こえてくる。
今ここでバレたら、紫呉さんたちの努力が水の泡。
あーちゃんはわかってくれたようで、泣きはらした目でこくりと頷き立ち上がった。
そんなあーちゃんの手を引いて、2人で一目散に駆け出そうとしたとき。
「おいおい逃げるつもりかぁ?」
ガラが悪い男3人組が私たちの目の前に現れた。
っ、なんで…!!?
きっと彼らは、あーちゃんを襲った人たちに違いない。
私たちの行動がバレてしまっていたのか、元々こういう作戦だったのか。
どちらにせよ、危機的な状況に変わりはないわけで。
ブルブル震えるあーちゃんの手を、ぎゅっと握りしめる。