アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 そのコリンと教授が大広間から出て行くのを見送ってから、みんなで庭に出てみた。

 ああ、そうね。庭、ではなく庭園ね。

 いろいろな種類の花々が咲き誇っている長い花壇がいくつもあり、東屋はいくつも点在している。

 さすがは王宮。なにもかもが半端ない。

 すぐ近くの東屋で一団が談笑しているのに気がついた。

 厳密には、何組かの親子である。

 いずれも、このお茶会に気合いを入れて臨んでいることがわかる。

 向こうもこちらに気がついた。

 いっせいに視線を浴びた。

 すぐ前でヘンリーと並んで歩いているノーラの痩せ細った体が、ピクリと震えた。

 ええ、わかるわ。ノーラ、よくわかる。だって、わたしも怖いから。
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