アッシュフィールド公爵夫妻の偽りの日々と存在しない愛~あなたの愛や絆は期待していませんのでご心配なく~
 だとしても、一度もやってきたことのないわたしの部屋にやって来てくれた。それがたとえわたしの顔の上に座ってお尻をこすりつけたいということであっても、やって来てくれたという行為そのものが尊い。はずよね?

 クレアのように、物事を前向きいいように考えないと。

 自分ではせいいっぱいの愛情をこめ、全力の笑顔にしてみた。それから、恐る恐る手を伸ばしてみた。

 先日、これでシャーロットに力いっぱいひっかかれてしまった。

 居間でわたしのお気に入りの座席で眠っていたから、どかせようとしたときだった。

 まだ記憶にあたらしい、文字通り痛すぎる出来事だ。
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