Special Edition ②

チャペルを後にした2人は、外に待機していたスタッフからフラワーシャワーを浴びた。

「おめでとうございます!」
「お幸せに~」

一輝が予約したのはプロポーズプラン。
青山にある有名な結婚式場で、極上のひとときを過ごすラグジュアリーな時間だ。

スタッフに誘導され、案内されたのはレストラン。
通常は披露宴会場となるその場を貸切っての二人だけの夕食だ。

夏桜好みの食材で作られたメニュー。
色とりどりの花に囲まれ、うっとりするような曲が流れる中、ビンテージワインで乾杯し、食事を堪能する。

ワイングラスを持ち上げる夏桜の左手に輝く指輪を目にし、一輝は幸せを噛み締めていた。



運転代行を使い自宅へと戻った二人。
何となくぎこちない。

「お風呂どうする?お酒飲んで来たからシャワーだけにする?」
「そうだな」

酔いを醒まそうと冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、それを口にした一輝に背後から抱きついた夏桜。

「今日はありがとう。凄く嬉しかったし、凄く幸せだよっ」

式場では照れくさくて御礼が言えなかった夏桜は、二人きりになって漸く言うことができた。

「夏桜が何番目とか、そんなことカウントしたことが無いから覚えてないけど、お前が最後なのは間違いない」
「……フフッ」
「だから、もうこの質問はすんな」
「……分かった」
「それと」
「ん?」
「夏桜の全てを理解できんのは、俺だけだから。これだけは忘れんな」
「うんっ」

熱く見つめ合う二人。
優しく髪が撫でられ擽ったさで肩をすぼめた、その時。
腰に回された腕に力が込められ、夏桜の体は軽々と宙に浮く。
そっと調理台の上に乗せられ、唇が塞がれた。

出会ってから丸一年。
走馬灯のように思い出される時間を慈しむかのように。
二人の時間はこれからも永遠に続く……。

~FIN~

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