孤独を生きる君へ
家についた時にはもうすでに父母妹三人で夕ご飯をとっていた。

手を洗ってからリビングに繋がるドアの前で立ち止まる。話の声が聞こえたからだ。

「あのね、あのね、私に彼氏ができたの」

ああ、なんなんだろう。今日彼氏ができた人、多くないか?

「前に合コンに誘われて行ってみたんだけど、そこで会った人」

「あら、真穂に彼氏ができるなんてねえ」

「さすが真穂だ。お前は人一倍かわいいからな」

お母さんとお父さんは真穂を褒め愛でていた。私にはしてくれたこともないその情景が、今、ここにある。

「その合コンで会った人なんだけどね。私の心射抜かれちゃって。それがそれがすごくかっこいいの!」

真穂の声がいつも以上に高くて、それが本当に嬉しいのだと悟らせる。

「そしたら今日告られちゃって」

「その子は真穂と同い年?」

「違うよ、大学生。大学生の一年だよ」

「真穂、年上の男をとったんだな?」

「すごいわ真穂っ」
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