アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!
「いっそのこと、期間限定で専属になってもらおうかな。でも、短期だと自分のお店を持ちたいって言っていたのに、恩返しじゃなくて迷惑になるかも……」

 さっきから大都は、ブツブツと悩んでいる。
 そんなに真剣に悩んでいるのなら力になろうと、私はアイデアをひねり出す。

「それなら、事業として美容室経営はどうかしら? 北川さんに店舗を任せて、大都がオーナーになるの。出店のノウハウなら母に聞けば教えてもらえるだろうし、私も力になれると思うわ。北川さんもいずれ独立するとき、経営サイドの経験は無駄にならないはずよ」

 私の提案に大都はかなり驚いた様子で、目を丸くしている。
 
「店舗経営か……引退後の計画としては悪くないな。出資金はどうにかなりそうだけど、まずは、北川さんに打診してみてからだな」

大都の口から何気なく「引退」の二文字が出たことに驚きつつも、事務所との契約を更新しない=(イコール)引退に繋がるのだと思った。

「……良い方向に進むといいね」

「ああ、あせらずに口説くよ」

 自信たっぷりにニヤリと口角を上げた大都を見て、本格的に計画を進めるのだと直感した。
 近い将来の展望にワクワクと期待感が湧き上がる。その反面、いまが幸せ過ぎて、少し怖くなるのは、私の悪いクセだ。

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