アイドルなんかじゃありません!わたしの元義弟なんです!!

ベッドのおまけじゃありません

「ねえ……このベッド、俺のために用意してくれたんだよね。お姉さんまで、ついてくるなんて思わなかったよ」

「ん……」

 大都の声がすぐ近くで聞こえて、だんだんと意識が覚醒してくる。
 どうやら、新しいベッドに横になったまま、眠ってしまったようだ。
 
「お姉さん。起きないなら、たべてもいい?」

「ダメ……」

 抵抗とも言えない小さな声でつぶやき、寝起きの悪い私は、うっすらと目を開いた。
 薄明りの中、ベッドに腰掛けた大都が私を見下ろし、節のある大きな手が頬に触れた。
 思いのほか温かくて、その気持ち良さに甘えるようにすり寄ってしまう。

「ダメじゃないよね。ダブルベッドで待っててくれるなんて、うれしいよ」
 
 スパイシーオレンジの香りが濃くなり、大都との距離が近くなるのがわかった。
 下から見上げる大都の顔に陰影が付き、綺麗なアーモンドアイは艶を帯びる。

 ああ、ダメだ。
 私、弱っている……。
 心が寂しくて、誰かに甘えたい。
 
 大都が覆いかぶさるように私の耳の横に手をついた。
 
「キス……いい?」

 大都の顔が……唇が……近づいてくる。
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