飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
第3章 バレる。

波乱の幕開け

 私はそこにしゃがんで、ごくりと息を吞んだ。

「し……失礼、します」


 そう言って手を伸ばし、それを軽く握った。

 お……おぉ……あったか……


「モォ~‼」

「⁉」


 私に乳を触られた牛が、大きな咆哮をあげた。

 驚いて手を離し、尻餅をついた私に怒り心頭の牛が後ろ脚をあげた。


「!」

 
 ガシャーン‼ ……バシャッ!


 


 ✧︎*。





 ――そして。


「あっははははは」

 
 牛乳臭くなってしまった私の横で、セイラが爆笑している。

 
「セイラ、笑い過ぎ……」

 
 ――痛いくらいに眩しい青空の下。

 私たちは今、夢中で地面の草を食べる牧場の羊たちを眺めながら、木製のベンチに座って休憩している。

 そう。 今日は待ちに待った校外学習という名の、遠足。

 バスに乗って牧場に到着して、最初に行った牛の乳しぼりで事件は起こった。

 みんなに続いて乳しぼりしようとしたところを、なぜか牛に怒られて搾りたてホヤホヤの牛乳をかぶることになった私はいま、しょんぼりして口を尖らせている。


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