飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

夏宮くんの行方

 その翌朝。私はいつにも増して緊張しながら学校の敷地に足を踏み入れた。


『かわいー』


 同時に昨日の夏宮くんがフラッシュバックした。

 くぅ……っ!

 だめだ、私、完全に夏宮くんのこと意識しちゃってる!

 昨日あったことは夏宮くんからしたらきっとなんでもないことなんだろうな。

 でも私はきっと、今日夏宮くんを見つけたら『かわいー』を思い出してドキドキしちゃう。

 昨日の出来事は私にとってそれだけの大事件だった。
 
 夏宮くん、なんて罪な人なんだ……!

 私はネックレスチェーンを撫でて、深呼吸した。


 ……普通にいこう、普通に。

 ザ・ノーマル。ノートラブル。ソーハッピー。イッツオッケー。イェー。

 なぜか頭の中で知ってる限りの英語をしゃべって心を落ち着かせから、私は教室の扉を開けた。


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