飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。
「心」


 一時間目の授業が終わった直後、キョンがスマホを片手に俺の席の横に立った。


「連絡取れないんだけど。なんか知らない?」

「……誰と?」


 〝言わなくてもわかんだろ〟っていう、目。
 
 キョンの、すべてを見透かすような目は、昔から。

 この鋭い目を向けられるのがずっと苦手だった。

 キョンには嘘が通用しないから。


「……知らない」

「あっそ」


 キョンはあっさり踵をかえしたけど、そこですぐに足を止め、俺に背を向けたまま低い声で言った。


「昨日……心を取り返してくるって言ってた」

「……え?」
 

 俺を……なに?

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