飼い始めたイケメンがずっとくっついて離れてくれない。

失いたくないのは、

「よーし、今日は予定通りマザー牧場での校外学習、班決めするぞー」

 鐘の音とともに入ってきた先生が、教卓に何かの資料を置きながら言った。

 うぇーい!と盛り上がる教室の中で、私はひとり膝に置いた拳をギュッと握りしめる。

 ……大丈夫。大丈夫。

 昨夜、寝る前にあんなにたくさんイメトレしたんだから。

 『もしよかったら私も入れてくれませんか』

 そう口に出すだけ。

 私はゴクリと生唾を飲み込んだ。

 ……できる。 私は、できる。

 懸命に頭の中で唱えれば、なんとかできる気がしてくる。

「男女混合4~6人の班なー。 ちゃんと決まんなかったらくじ引きで決めるぞー」

 えー!とみんなから抗議の声があがると、私の背中にはひんやりとした汗が滲んだ。


『誰も入れてくれなかったらどうしよう』

『私のせいでくじ引きになったらどうしよう』


 考えても仕方のない不安がよぎって、胃が痛くなってくる。

 ううん、きっと大丈夫。

 みんなから近づきがたい感じになっちゃってるだけで、嫌われてるわけじゃないんだから。……たぶん。

 できる、できる、私は、できる、大丈夫!

 首元を触って、必死にマイナス思考を押し潰す。


「じゃー班決め開始ー」

 先生が気怠く言って、みんなが一斉に立ち上がった。

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