キミの翼が羽ばたく時。

「ごめん…」
呟くような声が聞こえる。
お兄ちゃんらしいな。


私はそう思ったらなんだか無性にお兄ちゃんが可愛く見えてきた。

「…お兄ちゃん。大好き。」
私はそう言うとお兄ちゃんを背中からギュッと抱きしめた。

「うぐっ」
お兄ちゃんはビクッと反応し、俯いた。
大好きな人に、こんなに思いっきり抱きつけるなんて、それはやっぱりとっても幸せなことなんだ。




妹の恋の感情なんて気づいてはくれないだろう。

だけどこれは、


妹の特権だった。





< 42 / 71 >

この作品をシェア

pagetop