【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~

未来を変えるため~革命と策~

 記憶をたぐり寄せ、必死に小説の内容を思い出す。

【黒薔薇姫】は革命期の西欧をモチーフにしているようで、物語のラストではフランス革命のごとき市民の武装蜂起が起こる。

 正確な日にちは分からないけれど、シリウスの反乱イベントは『朝靄が立ちこめる不穏な晩夏に起こった』と小説に書かれていた。

 
 反乱の狼煙(のろし)は、夜明け前の市街地から上がる。
 
 腐敗した王政を倒すべく、革命家が市民を扇動。貧しい暮らしを強いられてきた民は、怒りのまま暴動を起こす。
 
 市民は、まず武器を求めて廃兵庫を目指した。

 廃兵庫は、前線で使えなくなった古い大砲や銃剣、その他武器を保管している倉庫だ。

 市民は廃兵庫から大量の武器を奪取。さらに各商会の倉庫を襲い、弾薬や火薬を手に入れ、完全武装を果たす。

 あとは、王族の首を取るだけだ――。憎しみに駆られた民衆は、武器を手にまっすぐ王宮へ進軍する。


 
 一方その頃、民衆蜂起の知らせを受けた王宮は大混乱だった。

 宮殿内には王族の他にも、夏のバカンスで集まった貴族諸侯がいた。彼らは迫り来る市民に恐れをなし、半狂乱になっていた。
 
 わめき散らしながら逃げまどう貴族たち、急ぎ籠城の支度をはじめる廷臣たち。病床に伏せる国王陛下と次期国王のメイナード、聖女ミーティアを守るため奔走する王城騎士。

 
 小説のラストに相応しい、絶体絶命の大ピンチ。
 
 そして終盤のクライマックスシーン。
 シリウスが反旗をひるがえす――。
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