【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
 混乱した状況。反乱を起こすには絶好の機会……。

 小説のラストシーンと全く同じ。舞台はこれ以上ない程、整っている。

「何も変わらなかった……シナリオの修正力に、勝てなかった……」

「お嬢様?」

 窓の外を見やると、至るところで黒煙が上がっている。
 
「私が余計なことをしたせいで……」
 
 シリウスがメイナードに刃を向ける光景が、頭の中に浮かび上がる。
 
 次に想像したのは、民衆の前に引きずり出される殿下の姿。罵声が飛び交う中、ギロチンの刃が無慈悲に落とされ――。

 
「――っ」

 
 私は両手で口元を覆うと、その場にしゃがみこんだ。

「私の、せいで……」

「お嬢様のせいではありません。民の暴動は、国民を顧みなかった王侯貴族の怠慢が招いたこと。アストレア監獄の件も、金で買収される腐った役人が内部にいるのが原因です。あなたは何も悪くない」

「…………」

 ソニアが私の目の前に膝をついた。
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