【コミカライズ配信中・書籍化決定】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
 彼女はにこっと笑い、「あら、お姉様いたの?」と小首をかしげ、犬を呼ぶような仕草で「こちらへ、いらっしゃい」と手招きする。

 私の異能を奪ってからというもの、ミーティアはまるで別人のように変わった。

 恨みがましい陰気な雰囲気は消え、かわりに胡散臭いほど穏やかな笑みを浮かべている。

 一人称は「あたし」から「わたくし」に変わり、口調も柔らかくなった。

 
 まるで、この国を建国したとされる、おとぎ話の聖女様を演じているかのような振る舞いだ。不気味きわまりない。
 

 手招きするミーティアに向かって、私はそっけなく「結構よ」と言ってきびすを返した。
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