【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
着替え終わったタイミングで、母が部屋に入ってきた。
「さぁ、アデル! 今日もビシバシ花嫁修業をするわよ!」
ニコニコしながら母が腕まくりをする。シリウスと恋仲だと知ってから、母のテンションは連日爆上がり。
「大事な娘が、好きな人と結ばれるなんて、これほど嬉しいことはないわ! 王室に入っても恥ずかしくない令嬢になれるよう、特訓しなきゃ」と大張り切りだ。
今日の花嫁修業を終える頃には、すっかり陽が落ち、夜になっていた。
◇
それから季節は晩秋に。とうとう王位継承を決める儀式が目前に迫ったある日――。
「お嬢様、教会のシスターからお手紙が届いています」
「教会から? 珍しいわね」
手紙を開き読み始める。予期せぬ内容に、私はとっさに「そんな……」と呟いた。
「何か問題でもございましたか?」
「最近、王都内で行方不明者が出ているのは知っているでしょう?」
「ええ。平民貴族問わず、行方が分からなくなっているとか。それがどうかしたのですか?」
「実は――」
私は手紙をソニアに差し出し、震える声で言った。
「シスター・クラーラが、行方不明になっているみたい……」
「さぁ、アデル! 今日もビシバシ花嫁修業をするわよ!」
ニコニコしながら母が腕まくりをする。シリウスと恋仲だと知ってから、母のテンションは連日爆上がり。
「大事な娘が、好きな人と結ばれるなんて、これほど嬉しいことはないわ! 王室に入っても恥ずかしくない令嬢になれるよう、特訓しなきゃ」と大張り切りだ。
今日の花嫁修業を終える頃には、すっかり陽が落ち、夜になっていた。
◇
それから季節は晩秋に。とうとう王位継承を決める儀式が目前に迫ったある日――。
「お嬢様、教会のシスターからお手紙が届いています」
「教会から? 珍しいわね」
手紙を開き読み始める。予期せぬ内容に、私はとっさに「そんな……」と呟いた。
「何か問題でもございましたか?」
「最近、王都内で行方不明者が出ているのは知っているでしょう?」
「ええ。平民貴族問わず、行方が分からなくなっているとか。それがどうかしたのですか?」
「実は――」
私は手紙をソニアに差し出し、震える声で言った。
「シスター・クラーラが、行方不明になっているみたい……」