【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~

最高の人生~またいつの日か~

 民に寄り添い、賢王と(うた)われたシリウス国王陛下。

 精力的に政を行う陛下の隣には、常にアデル妃の姿があった。

 二人は慈善活動や民との交流も精力的に行い、開かれた王室の(いしずえ)を築いたという。
 
 歴代の王が複数の女性を囲う中、陛下が生涯愛したのはただお一人。
 アデル妃だけだった。
 

 二人の間には、やがて三人の子供が産まれた。

 一人目は、王女。二人目と三人目は、王子だった。
 

 王女は父親譲りの頭脳と、母親譲りの美貌を持つ才女。
 
 長男は、卓越した頭脳を持つ学者肌。
 王より研究者になることを願った。
 
 次男は、剣を振るうことを得意とし、幼少期から騎士を目指した。
 
 
 陛下が後継者に選んだのは、長女である王女殿下だった。

 前例のない女王誕生に、国民はにわかに動揺したが……すぐさまそれは、杞憂だったと知る。


 女王は父王の築いた穏やかな治世を守り、時代と共に柔軟に法制度を変えていった。


 シリウス陛下と、それに続く女王の治世は、のちにこう呼ばれる。

 
 ――アストレアの黄金時代、と。
< 224 / 226 >

この作品をシェア

pagetop