【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「エスタ~、お歌うたって!」「エスター、ご本読んで!」と、無邪気に遊びをせがむ子供たち。

 楽しい時間はあっという間で、気が付けば夕方になっていた。さすがにもう帰らなきゃ。

 私は孤児院をあとにして、隣の大聖堂へ向かった。


 お祈りを済ませ、出入り口の扉をあけた瞬間、反対側から入ってきた男性とぶつかりそうになった。とっさに避けようとして、バランスを崩す。

「――ぁっ」
 
 ゆらりと傾いた私の体を、長身の男性が抱き寄せ、支えてくれた。
 ふわりと、清潔な良い香りが鼻をかすめる。
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