【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
 エスターの誕生日に、あたしは異能を手に入れた。
 
 厳密に言えば『盗みの力』みたいだけど……。

 
(そんな内容、原作にあったっけ? まぁ、いいや)

 
 やっぱり夢の中で読んだ【黒薔薇姫】のシナリオどおりにイベントが起こるんだ、と喜んだのも束の間。今度はエスターが復讐してこない。それどころか、家を出て自立しようとしている。
 
 
(殺害未遂イベントが起きないと追放ざまぁできないし、その後のシナリオにも影響しちゃうかも。それに、異能を盗んだとか言いふらされたら、あたしのイメージ悪くなっちゃうじゃん! どうにかして、小説どおりに修正しないと――)

 
 そこで思いついたのが、自分で自分を刺し、罪をなすりつけるという自演策だった。
 
 計画は見事に成功!
 異能にしか興味ない両親は、笑っちゃうくらい簡単にだまされた。

 エスターは、頭がおかしくなっちゃったという理由で、療養所――とは名ばかりの監獄に収容された。

 あそこは、貴族御用達の流刑地(るけいち)らしい。病気の療養と称して厄介者を監禁し、病死としてひっそり処分する場所。一度ぶちこまれたら、死ぬまで出られない。

 
(ふふっ、ざまぁ。脇役のくせに勝手な行動して、あたしより目立とうとするからよ)


「姉が死んだのに赤は派手過ぎね。ピンクは子供っぽい。うん、これにしましょう。黒薔薇姫には、この色がふさわしいわ」


 あたしはクローゼットから取り出したドレスを着て、鏡の前でくるりと回った。
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