香道部の佐山くんに初めての恋をしました。



「なんだか、不思議な空気があるっていうか……なんか香りが、おばあちゃんちの匂いするから。近づくの遠慮しちゃうというか」

「不思議な雰囲気……あるかなぁ?」


 私にはそういうのは感じないんだけど……それに、おばあちゃんちの匂いはきっとお香の香りのことだよね。


「うん。それにそっけないし、人に興味ないみたいで」

「え? そっけない? そんなことないよ。この前は、教科書忘れた時に見せてくれたし色々教えてくれるよ」

「え、そうなの? そんなとこ、見たことないよ」


 そうなんだ……


「まぁ、香花ちゃんは隣だし違うのかもね」


 確かにそうかもしれないなぁと思いながら、お弁当を食べると授業の始まるチャイムが聞こえて千咲ちゃんは席に戻っていった。



< 40 / 90 >

この作品をシェア

pagetop