同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 「いや、だから当時。お前がいない二年目だよ。篠田のことで別れたのに、課長がどんなに魅力的でも吉崎はいきませんよ」
 
 「……」

 椎名は黙って聞いている。
 
 「いや、そうでもないです。俺が戻って再告白したとき、俺がもう少し帰るの遅かったら課長にOKしてしまっていたかもしれないと言っていました。寂しさで頷いてしまいそうだったと……」
 
 大和は課長を見ながら言った。
 
 「……だから、課長。俺はあなたをいまだに警戒しているんですよ。紗良の気持ちが揺れると何が起こるか分からない」
 
 椎名は大和を正面から見た。
 
 「だから、指輪をさせて婚約したんだろ?ならもう大丈夫だろう。あいつがそれを望んで俺を振ってお前と婚約したんだから」
 
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