The Tricks Played by Destiny
一口含むと、暖かいスープは身体にじんわりと染み込んだ。


なんとも形容しがたい思いがした。
ここは川の向こう。あたしの知らない世界。化け物の住む土地。……あたしのような。


温かいスープを飲める日が来るとは夢にも思わなかった。

レディーとして扱ってくれなくても、目の前の美青年はあたしを人として扱ってくれていた。



ついつい餌に釣られて、あたしは完食して、お腹も満たされると思い出す。

今、この状況。
あたしにはさっぱりわからなかった。



「あの、」

「あー、面倒だから口を聞いてくれるな」



あたしの考えてることがわかってるかのように、あたしの言葉を遮った。

なんて、横暴なっ!
面倒だ、なんて面と向かって言うの。


怒りのためにふるふると震え出したあたしの矛先を逸らすためにか、テーブルの下で寝そべっていた犬っころが話し出す。
あたしの座る椅子の横にお座りして、狼は牙を剥いて言った。



「俺はレオルド、レオと呼んでくれ」



お行儀よく、お座りしている狼、もといレオに好感を抱く。どこかの顔だけとは全然違う。

グレイの毛並みで瞳はモスグリーン。
あたしの胸のあたりまである大きな狼だった。



「で、」



レオはあたしの正面に座る美青年に顔だけ向け、次はお前の番だ、告げる。けれど奴は知らん顔。ぶすっとした顔であたしを睨んだあと、あらぬ方向を向いて徹底的に無視してくれた。



「礼を言うんだろ、ぼけぇ」

「うっせぇんだよ、犬っころ」

「犬じゃねぇ、狼じゃ!ぼけぇ」



慣れたように次の言葉がすらすらと出て行く。
毎回、同じようなやり取りを行ってるんだろう。
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