The Tricks Played by Destiny
「ジークとは、また会える」



揺れる木々の合間を縫って生き物の気配が濃厚な場所に向かう。
一番近い街に向かうという。



「あいつにもあいつの事情があるんだ、ぼけぇ」



光の見えない逃亡だったけれど、気が付けばあたしは川の向こう側でこうして生きている。
自由を手に、自らが望むことが出来ている。



「俺?俺は――――しゃべる狼じゃだめなのかよ」



絶望しかなかったあの頃の傷はもう見えないけれど。


話す狼と一緒に、あたしは一歩を踏み出す。
こっちで、最後までを過ごす。





第一章 完
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