勉強おしえたらイケメンに懐かれた

1位の悩み

「また.....源が1位かよ」

「勉強だけが取り柄の女とかつまんなそうー」

「源って.....あの人友達いないんだってよ」

「勉強だけが取り柄の女が.....」


私の名前は源 陸留

川南商業高校に通う3年生

今絶賛後ろで小声で悪口を言われている所だ


なぜかって?


私がまた定期テストで1位を取ったからだ

私はこの高校に入ってからずっと1位を取り続けていた


最初こそは尊敬の眼差しで見られていたけど

いつの間にか、嫉妬の目で見られるようになった

いつも目立たないのに、試験になると注目の的として見られるのが気に入らないのだろう


「.....勉強になると急にマジになってのウケるw」


最初こそはその言葉に折れそうだったが、今となっては慣れてきた

私はそんな陰口に気にも留めずに、人の波を掻き分けて歩いていく

その姿を見て、人々は私を『お高く留まっている人』と馬鹿にしてくる

そう.....今日もいつものように私は教室に戻って勉強をするはずだった


「お前また学年最下位かよ」

「平ー、お前勉強できたらもっとモテるぞ」

「いや、これ以上モテたら俺らが困るわw」


なんだろう、後ろから女子のキャーキャー言う声が聞こえる

一体何だろう

そう思って私は後ろを振り向いた


「うん.....?」

「え.....?」


後ろを振り向いた瞬間、イケメンと目が合った

たしかこのイケメンの名前は.....


「キャーーーーーーー、清和君」


そうだ、この人の名前は平 清和

普段、人の名前を覚えない私でも彼の名前は覚えていた

女子グループでたびたび話題になる男子、清和

彼は、とにかく圧倒的なイケメンでかつスポーツが得意だった

欠点は物凄く頭が悪い.....ことのみ

そんなステータスを持っているのだから、学年問わず女子からとてもモテていた

静かな私とは天地の差ほど離れている男子


「相変わらず.....すげえ人気だな清和。って、どうした立ち止まって」


そんな彼だが、今私の前に立ち止まっている

私に何か用があるのだろうか

周囲の女子が私を睨む中、彼は次の瞬間とんでもないことを言ってきた


「ねえ.....君、学年一位の源さんだよね」

「は.....はい」


甘く透き通る声だ


「俺にさ.....勉強を教えてくんない?」

「え!?」


彼はそう真剣な表情で言ってきた

虚を突かれ、思わず私は低い声でそういう


廊下の掲示板

そこが彼との最初の出会いであり、最初の会話であった
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