私のボディーガード君
「座りませんか?」
三田村君に促されて、緑色のベンチに腰を下ろした。辺りには誰もいない。
とても静かだった。
左隣に座る三田村君は何かを躊躇っているよう。
どうしたんだろう? 何か言いづらい事でも?
あれ? ひょっとしてこの場所は……
22年前の記憶が蘇る。
みっくんと桜の花びらを集めて、このベンチに並べて遊んでいたんだ。明日も遊ぼうって約束して別れて……。
それで、次の日、みっくんを待っていたら私は誘拐されて……。
「ここは私が誘拐された場所なんでしょ?」
三田村君が「はい」と頷いた。
「覚えていましたか」
「何となくだけど。そっか。私、ここで倉田浩介に誘拐されたのか」
時々、このベンチを夢に見た。
夢に出て来た時はもっと恐ろしい感じだったけど、現実に見ると、そんなに怖くない。こんなに普通の場所だったのかって拍子抜けするぐらい。
なんか不思議。
あの時の事は考えるのも嫌だったけど、実際に現場を見ると、そんなに怖くなかった気もする。
「妃奈子さんが誘拐された次の日、ベンチの周りを大勢の警察官が調べていたのを見ました。誘拐された子の名前が『さえきひなこ』って聞いて、一緒に遊んだ『ひなちゃん』だって気づきました。俺はずっと生きていて欲しいと願いながら、あなたを捜していたんです。母の反対を押し切って警察官になったのも、あなたを見つけたかったから。でも、いくら捜してもあなたの行方はわからなかった」
三田村君……。
私の為に警察官になったの?
三田村君に促されて、緑色のベンチに腰を下ろした。辺りには誰もいない。
とても静かだった。
左隣に座る三田村君は何かを躊躇っているよう。
どうしたんだろう? 何か言いづらい事でも?
あれ? ひょっとしてこの場所は……
22年前の記憶が蘇る。
みっくんと桜の花びらを集めて、このベンチに並べて遊んでいたんだ。明日も遊ぼうって約束して別れて……。
それで、次の日、みっくんを待っていたら私は誘拐されて……。
「ここは私が誘拐された場所なんでしょ?」
三田村君が「はい」と頷いた。
「覚えていましたか」
「何となくだけど。そっか。私、ここで倉田浩介に誘拐されたのか」
時々、このベンチを夢に見た。
夢に出て来た時はもっと恐ろしい感じだったけど、現実に見ると、そんなに怖くない。こんなに普通の場所だったのかって拍子抜けするぐらい。
なんか不思議。
あの時の事は考えるのも嫌だったけど、実際に現場を見ると、そんなに怖くなかった気もする。
「妃奈子さんが誘拐された次の日、ベンチの周りを大勢の警察官が調べていたのを見ました。誘拐された子の名前が『さえきひなこ』って聞いて、一緒に遊んだ『ひなちゃん』だって気づきました。俺はずっと生きていて欲しいと願いながら、あなたを捜していたんです。母の反対を押し切って警察官になったのも、あなたを見つけたかったから。でも、いくら捜してもあなたの行方はわからなかった」
三田村君……。
私の為に警察官になったの?