私のボディーガード君
部屋が真っ暗になる。

「電気を点けろ!」

浅羽の怒鳴り声がした。
ガタゴトと大きな物音がして、誰かに腕を掴まれた。

浅羽かと思ったけど、ふんわりと匂ったムスクの香りを感じてハッとした。

「俺です」

すぐ傍で三田村君の声がした。

三田村君、助けに来てくれたの……!

「逃げますよ」

大きな手が私の腕を掴む。
愛しい人の手の感触に胸が熱くなった。

「さあ、こっちです」
「うん」

三田村君に腕を引っ張られて壁伝いに進む。

「待て!」

浅羽だ。
浅羽が近づいてくる。

咄嗟に浅羽の声がした方に向けて、催涙スプレーを吹きかけた。

「うわー! 目がー!」

浅羽の悲鳴が聞こえた。
やった。命中した。

「妃奈子さん、走りますよ」

三田村君に引っ張られて玄関まで走った。

外に出られる。そう思った時、銃声が響いて、三田村君が私を守るように覆いかぶさる。

三田村君と一緒に床に転がった。

電気が点くと、私の上に覆いかぶさった三田村君の左肩から血が出ていた。

「三田村君――!」
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