私のボディーガード君

事件のあと

チャイルドの深刻な副作用とは、長く投薬が続くとガンを再発させる事だった。しかも末期ガンの状態で現れ、多くの子どもたちが命を落とした。

22年前その事に最初に気づいた倉田浩介は、発売中止にするように会社に訴えたが、膨大な開発費を回収する事の方が優先され、倉田は会社をクビになった。

母は倉田からチャイルドの危険性を聞き、神宮寺製薬と厚労省に発売中止にするよう求めた。しかし、神宮寺製薬から恩恵を受けている大物政治家の手で、母自身の議員生命が危うくなり、一旦は諦めるしかなかった。その時に母は倉田に自分が力を持つまで待ってて欲しいと頼むけど、倉田はそれでは遅いと母と対立し、私を誘拐する。

倉田は私を人質に取って母に神宮寺製薬の悪事を告発させたかったらしい。でも、肺炎治療中だった私は倉田といる時に体調を悪化させ、倉田は苦しむ私を見過せず、自首したそう。

倉田が自殺した件については、母は関わっていないと強く否定をした。母の話では、神宮寺製薬から利益を受ける大物政治家の仕業なのではないかという事だった。その大物政治家は昨年、ガンで亡くなったそう。全身に転移をして、かなり苦しんだ最期だったようで、母は悪い事をした報いねと、寂しそうに言った。きっと自分も碌な死に方はしない。そういう意味が母の言葉には含んでいるようだった。
< 195 / 210 >

この作品をシェア

pagetop