私のボディーガード君
夕食の後はお風呂を頂いて、用意してもらった二階の和室に入った。和室は立派な床の間がある8畳間。

入り口の他にも襖戸があって押し入れかと思ったけど、開けてみると襖戸の先にも6畳の和室があった。8畳間と6畳間の間の4枚の襖戸を開ければ一つの大きな部屋として使えそう。

気になる事は6畳間の方にも布団が一組敷かれている事。
そして部屋の隅には見覚えのある黒い旅行鞄。

もしかして、この部屋で眠るのは……

「妃奈子さん、お風呂出たんですか?」

じっと6畳間を見ていると、6畳間の方の出入口が開いて、セーターにジーパン姿の三田村君が入って来た。

「う、うん」

三田村君の顔を見た瞬間、トクンって胸が高鳴った。

「あ、俺はこっちの部屋で控えていますから。何かあったら呼んで下さい」
「ありがとう」

ホテルの隣の客室にいた時よりも三田村君が近くて、何だかドキドキする。私たちの間にあるのは四枚の襖戸だけ。いつでも簡単に行き来できてしまう。

そんな事を考えていたら、ますますドキドキして来た。
何を意識しているんだろう。三田村君が隣に控えてくれるのはボディーガードだからで、それ以上の事は何もなくて……。

「妃奈子さん、手紙の事ですが」

三田村君が険しい表情を浮かべた。
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