私のボディーガード君
「この間、成海が来たと思ったら、今日は勇人か」
叔父さんがお酒を飲みながら機嫌良さそうに言った。
成海?
「兄貴来たの? いつ?」
三田村君が驚いたように眉を上げる。
成海さんというのは三田村君のお兄さんの名前か。
意外。しっかりしているから三田村君は長男かと思っていた。
「先週だったかな。釣りをしに来たついでだと行って、ふらりと来た。今度、世界で一番寒い国に視察に行く事になったと愚痴ってたな」
世界で一番寒い国に行くってどんな仕事?
「ヤクーツクかな。大きい温室があって日本の苺を作っているって聞いた事がある」
三田村君が叔父さんのお猪口にお酒を注ぎながら言った。
ヤクーツクって、ロシア連邦だ。最低気温がマイナス50度にもなる所だ。
「この間はサウジアラビアにも行って来たって言ってたな」
サウジアラビアにもって、お兄さん、本当、何の仕事?
「兄貴も大変なんだな」
しみじみと言いながら、三田村君はウーロン茶を飲み、それから私の疑問に満ちた視線に気づいて「兄は商社マンなんです」と教えてくれた。
商社マンか。なるほど、世界中いろんな所に行くお仕事ね。
「勇人、帝には会っているのか?」
叔父さんの質問に三田村君の表情が曇った気がする。
「あの人の話は遠慮して下さい。仕事中なので」
いきなり三田村君が立ちあがった。
「外の様子を見て来ます」
三田村君はダイニングから出て行った。
「もうっ、なんで勇人にあの人の話をするの?」
叔母さんが怒ったように叔父さんに言う。叔父さんは苦笑いを浮かべていた。
どうやら三田村君にとって〝帝〟の話はタブーのようだ。
帝って一体誰の事だろう?
聞きたいけど、三田村君のいない所で聞くのは悪い気がして聞かなかった。
叔父さんがお酒を飲みながら機嫌良さそうに言った。
成海?
「兄貴来たの? いつ?」
三田村君が驚いたように眉を上げる。
成海さんというのは三田村君のお兄さんの名前か。
意外。しっかりしているから三田村君は長男かと思っていた。
「先週だったかな。釣りをしに来たついでだと行って、ふらりと来た。今度、世界で一番寒い国に視察に行く事になったと愚痴ってたな」
世界で一番寒い国に行くってどんな仕事?
「ヤクーツクかな。大きい温室があって日本の苺を作っているって聞いた事がある」
三田村君が叔父さんのお猪口にお酒を注ぎながら言った。
ヤクーツクって、ロシア連邦だ。最低気温がマイナス50度にもなる所だ。
「この間はサウジアラビアにも行って来たって言ってたな」
サウジアラビアにもって、お兄さん、本当、何の仕事?
「兄貴も大変なんだな」
しみじみと言いながら、三田村君はウーロン茶を飲み、それから私の疑問に満ちた視線に気づいて「兄は商社マンなんです」と教えてくれた。
商社マンか。なるほど、世界中いろんな所に行くお仕事ね。
「勇人、帝には会っているのか?」
叔父さんの質問に三田村君の表情が曇った気がする。
「あの人の話は遠慮して下さい。仕事中なので」
いきなり三田村君が立ちあがった。
「外の様子を見て来ます」
三田村君はダイニングから出て行った。
「もうっ、なんで勇人にあの人の話をするの?」
叔母さんが怒ったように叔父さんに言う。叔父さんは苦笑いを浮かべていた。
どうやら三田村君にとって〝帝〟の話はタブーのようだ。
帝って一体誰の事だろう?
聞きたいけど、三田村君のいない所で聞くのは悪い気がして聞かなかった。