夏恋サテライト
「棗の感情読める能力が欲しい」
「バカなの」
「柏崎くんとか恭ちゃんは分かりやすいのに…」
「…」
私の頬を優しく撫でていた手は急に動きを止めた。
「棗?」
「そうやってすぐ男の名前出すの、やめたら」
「え…?」
「激にぶ女…」
今度はマリアナ海溝より深そうなため息をついた。
もはやブラックホールレベル。
私なんか変なこと言ったかな…
「髪の毛鬱陶しいな。結べば、汗つくし」
「ありがと……ん?髪ゴム?」
ベッドサイドに手を伸ばし手に髪ゴムをとる棗。
ん?髪ゴム?棗の部屋に?棗のベッドに?
もしかして……
「誰、の?」
ほかの女の子がこのベッドで寝たの?この部屋に来たの?
棗が他のこと一緒にいるのを想像しただけで目が熱くなった。
だめだ、熱のせいで感情が…