夏恋サテライト

「俺夏目さん可愛いと思ってたのに、クソこのイケメンが!やる気ないくせに美味しいとこだけもってきやがって!この!」


「そろそろはっ倒すぞタナカ」



「ちゃっかり自分のジャージなんか着せちゃって。お前は絶対独占欲強いタイプだと思ってたぜ」




タナカくんの野次でさらに私の顔の熱は上昇してそろそろ沸騰しそうだった。






「ちが、これは棗が目のやり場に困って…」

「そうだよ、悪い?」





弁明をしようとする私に被せて、棗はそう言ってニヤリと笑った。


そして颯爽とグラウンドから立ち去るのであった。




「待っ、棗…!」


「違う違う、出場者はあっちの旗の下並んでね」




棗を追おうにも実行委員に順位の旗に連行され、そのままみんなで退場。


こうして棗の本気を見るという目標は達成したものの、棗の意味深な微笑みの意味は分からずに体育祭は幕を閉じた。




< 67 / 201 >

この作品をシェア

pagetop