夏恋サテライト

File.4 限界なんだけど

【咲鈴side】


「――え、付き合ってないの?」



「もー!!美紗まで!!付き合ってないよ、第一そんな事になってるならとっくに報告してるじゃん」



「たしかにね~」





金曜日に体育祭が幕を閉じた週明け月曜日。


私は朝から四方八方からの囲み取材を切り抜きホームルーム開始直前の教室にたどり着いたのだった。



お陰様で遅刻ギリギリ、棗にも会えず、質問攻めで体力を使い切ってしまった。





「付き合ってるの?どっちから告白したの?飛鷹くんつってやっぱり経験豊富なの?とかもう…疲れたぁ」



「まあ好きな人って引いて真っ先に飛鷹くんを探した咲鈴と、咲鈴の手を引いて颯爽と走った飛鷹くんを見たらそうなるよねぇ」





事の発端は私たち。



借り物競争で “ 好きな人 ” と引いて、2人でゴールをしたのを全校生徒が目撃していたんだ。




あんなの公開告白に等しいし、なんならもう付き合ってると思われてもしょうがない。


挙句の果てに、今まで付き合ってないって言ってたのは隠してたの?だなんて言われて。





「棗と付き合えてたら私みんなに自慢しまくるのになんで分かってくれないんだろう…」



「行事で目立っちゃったし、相手が相手だからねぇ」




そう。相手が相手なのだ。



棗は孤高の王子。

イケメンでクールでスタイルが良くて群れを好まなくて、柏崎くんと私くらいしか話さない。




話しかけても冷たいから残念系イケメンなんて呼ばれてる棗。


全校生徒のアイドル、遠目から見て楽しむ対象。




いつも周りをうろちょろしてるチンチクリン(私)が急に好きな人に昇格してたら騒ぎにもなる。

挙句の果てになぜか棗まで、“ 独占欲で悪い? ” 的な謎発言をしてしまったわけで。




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