パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
それにはもう、逆らえなかった。



翌朝の駒木さんは――さいこーに機嫌が悪かった。

「どうして君は、僕と花夜乃さんの時間を邪魔するのかい?」

「どうしてって、いつもどおり迎えに来たら、俺の分まで朝食の準備がされていただけですが」

テーブルの上で駒木さんと東本くんの視線がぶつかり、バチバチと火花を散らす。
駒木さんは私の手料理を、東本くんに食べさせるのが嫌らしい。
今日は普通に出勤って聞いていたので、お礼も兼ねて東本くんの分も作っただけだけれどね。

「篠永って料理上手いのな」

東本くんが私と目をあわせ、にぱっと笑う。

「ありがとう」

今日はお味噌汁と玉子焼き、厚揚げの大根下ろしのせに昨日の残りの、ほうれん草のおひたしおひたしだ。
ご飯は昨日と同じく、パックご飯を温めた。

「マジで嫁に欲しいわ」

「東本くん、それ、セクハラだよ」

駒木さんの声はどこまでも冷ややかだ。

「あ、いや、家政婦代わりに欲しいとかいう意味じゃないし、俺だって料理洗濯できるし、結婚しても積極的にやるつもりだから心配しなくていいからな!」

少し赤い顔で東本くんが捲したてる。

「わかってるから大丈夫だよ」

私だって気にしてないし、笑ってお味噌汁を口に運ぶ。
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