パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
無駄死にじゃないし、親や友人もお婆ちゃんを庇って自分が落ちるなんて、私らしい最後だと笑ってくれるだろう。

そのときを覚悟して、静かに目を閉じる。
しかし、衝撃も痛みもやってこない。
即死だとそんなものなのかな……?
なんて思いながら目を開けたら、スーツのイケメンに支えられいていた。
ナチュラルにパーマをかけ、七三分けにされた黒髪。
メタル素材のボストン黒眼鏡の向こうからは少しつり上がった、意志の強そうな目がこちらを見ている。
滑らかな肌は、髭が生えるのかすら疑わしい。
こんなイケメンがその辺に生息しているとは思えないし、天使なんだろうか……?

「天使が空から降ってきた」

ぼーっと見取れていたら、目尻をにっこりと下げた彼が私を立たせてくれる。

「どこか痛いところとかない?」

「……ない、です」

気持ちが凄くふわふわとするが、これは別に打ち所が悪かったわけじゃないと思う。
こんな綺麗な男の人がいるんだ。
芸能人かなんかなのかな……?

「あの。
ありがとうございました。
お礼にお茶……」

くらい誘っても、バチは当たらないだろうなんて考えていた私を、予想の斜め上どころか突き抜けた事態が襲ってきた。

「じゃあお礼に、今すぐ役所へ婚姻届を提出へ行こう」

「……は?」

< 2 / 219 >

この作品をシェア

pagetop