パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
また少ししてドアがノックされ、今度は四十代くらいの男性が入ってくる。

「すみません、まだ戻ってきてないです」

「あー、またどこかで足止め喰らってるんだろうね。
了解。
……ん?」

先程と同じく、男性の視線が私で止まった。

「誰?」

「駒木警視のお客様です」

「うそっ!?」

先程の男性とまったく同じ反応で、私のほうが驚く。

「へー、ふーん。
あの、駒木警視のねぇ」

またもや彼も、珍しいものかのように私を観察した。

「こりゃ、明日は雪かな。
いや、花でも降るか。
じゃあ、また来るよ」

楽しそうに笑いながら彼は出ていったが、ほんとになんで?

「あのさ、ほんとにあれ、なんなの?」

私の声は多少怒りが含まれているが、仕方ない。

「駒木警視の女っていうのが珍しいんだよ」

「女……」

まあ確かに?
お試しで付き合っている今は、そうなるか。

「あの人、あの顔でキャリアだし、さらに大企業の御曹司だろ?
すぐに女性が寄ってくるんだけど」

それで〝誰かに捕まってる〟〝足止め喰らってる〟なのか。
ん?
ちょっとむかっとしたのは……気のせいか。

「でも、全部バッサリ切り捨てるし、かといって決まった女がいる様子もない。
女性に興味がないんじゃないかと噂されていたくらいだから、珍しいんだよ」

「へー、そう、なん、だー」

なんでだろう、駒木さんにとって私は特別って言われた気がして、いい気になっているのは。
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