パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
というかさっきから駒木さんを訪ねてくる人がいるし、いまさらながら部外者の私がここにいていいんだろうか。

「東本くん。
私、ここにいていいの?」

「別に?
保護してるんだからいいに決まってるだろ」

「保護……」

それは確かに、そうかもしれない。

「てかさ。
俺、ずっと篠永に謝らなきゃって思ってた」

「え……?」

顔を上げると東本くんが真剣に私を見ていた。

「あのとき、俺は親身になって篠永を支えてやらなきゃいけなかったのに、どうしていいのかわからなくて、適当に笑って済ませて。
こんなときに謝るのもなんかあれだけど、本当に悪かった」

「東本くん……」

……高校生のとき。
私は痴漢被害に遭った。
休みに、少し遅くなった日のことだ。
抱きつかれ、全身撫で回された。
それだけでも最悪なのに、犯人は通り魔的犯行ではなく、前々から私を狙い、凶行の日を待っていた。
それ以来、私は自分の容姿が嫌いになった。

最悪なのは犯人だけではない。
私の事情聴取をした警察官はあろうことか、誘うような格好していた私も悪いと説教してきた。
そのせいもあってそれでなくてもつらい体験を話す気がなくなり、私がなにも話さなかったからか、あの犯人は罪に問われなかった。

「いいよ、仕方なかったと思うし」

隠していたが、どこから漏れたのか私が痴漢被害に遭った件は学校中に広まった。
周囲の態度が微妙になり、東本くんも。
こうして淡い憧れのまま、私たちの関係は終わった。
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