パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
SIMカードは無事だったので機種変だけで済み、手続きは早く終わった。
駒木さんと一緒に夕食を食べ、帰ってきたのは――彼の家だった。

「えっと……」

あの部屋に帰らないでいいのは助かるが、そういつまでもここにいるわけにはいかない。

「あの部屋は危険だよ。
僕の心配が的中して、後悔したくらいだ」

戸惑っている私に駒木さんが説明してくれる。

「危険、って……?」

あんな男に侵入されたんだから、それはわかる。
でも、〝心配が的中〟ってなんだろう?

「裏が細い路地で街灯も少なく、人目につきにくい。
しかも二階なんて簡単に登れるからね。
ちょっと危ないなとは思ってたけど、まさか、こんなことになるなんて……!
本当にごめん、謝って済むことじゃないが」

じっと私を見つめる、眼鏡の向こうの目は真剣だ。
こんなに彼が、後悔しているなんて知らなかった。

「そんなわけで新しいマンションが決まるまでは、ここに住んで。
いいよね?」

すぐにでも新しいマンションを探そうとは思っていた。
しかしその間、どうしようか悩んでいたのも事実だ。
だから、駒木さんの申し出は嬉しいけれど、本当にそこまで頼っていいのかな。

「ほらー、また難しいこと考えてる」

彼の長い指が、私の額を突く。

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