6月のシンデレラ


私は積極的に家事を手伝わせてもらっている。

この家は本当に広くてお掃除は大変だけれど、何も苦にならない。
むしろ全部が楽しくて仕方ない。

お父様もお母様も本当に良くしてくださるから。


「(…あ、そろそろ青人さん起こさないと)」


洗濯物を干し終わり、パタパタと青人さんの部屋に行った。


「青人さん!起きて!」

「ん……」


ああ、寝起きの無防備な青人さんも素敵だわ。
青人さんは低血圧で朝に弱い。


「青人さん、遅刻す……んっ」


急に腕を引っ張られたと思ったら、そのまま腕の中に閉じ込められて唇を奪われた。


「…おはよう、永美里」

「〜っ、もう!お父様たちに見られたら…!」

「だから実家は嫌だったんだ。離れとはいえ、親の目があるのはしんどいね…」


そう言って青人さんは私を抱き起こして、起き上がる。


「永美里ともっとくっつきたいのに…」

「青人さん、遅刻するから…」

「もう少しだけ…」

「――あっ」


今はまだ婚約中。
だけど、もう蜜月みたいに毎日が甘くてとろけそう。

青人さんに触れられるところ全部が、麻酔をかけられたみたいに痺れる。
私の肌に緋い花が咲き乱れる。

こんなに幸せで、バチが当たらないか不安になってしまう程。


「――続きは夜ね」

「…っ!」


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