三年越しのあの日をもう一度
翔馬は本当は音海高校に通いたいとは思っていなかった。別の高校を志望校として選んでいたのだが、両親や教師に反対され、この高校を受験させられてしまったのだ。

その腹いせに、翔馬は髪を派手な金髪に染めて、耳にはいくつものピアスホールを開けた。見た目はまるで少年漫画に登場しそうなヤンキーである。

今日は入学式だった。みんな新しい生活の幕開けに友達と笑顔で話し、期待に胸を膨らませているのがわかる。そんな中、翔馬は一人不貞腐れたような顔をして、舌打ちを繰り返していた。

「ハァ、こんな高校で青春遅れってのかよ!」

新品のブレザーだというのに汚れるのも構わずに地面に寝転がり、翔馬はわざとらしく大声で言う。迷惑そうな視線が突き刺さるも、翔馬は気にしないようにして目を閉じた。その時である。

「その髪の色、ダークブロンド?とっても素敵な色ね!」

嫌味でも陰口でもない純粋そのものの声が翔馬の耳に届く。目を開ければ、そこには一人の女子生徒が立っていた。
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