振り解いて、世界
「靴下」
「探してたのかなと思って」
「こんな状態で靴下なんか探すわけないじゃん! それよりもっと必要なものがあるでしょ? しかも、裸に靴下ってありえないくらいダサい組み合わせだしさ」
「これじゃなかった?」
「違う、全然違う!」

 セレンから靴下を奪い取り再び隠れようとした途端、太い腕がブランケットの中まで伸びてくる。
 手のひらが、肩から背中をするりといやらしく撫でた。
 
「別にいいじゃん、そのままで」
「よ、よくないよ! それよりも手つきがなんかあやしいというか……」
「そう? 今からまたするからかな」
「今から、また!?」
「今日は朝までずっとこのままだよ」
「朝まで……!」

 呆気に取られている間にブランケットを無理やり剥がされ、セレンがわたしに跨る。
 むき出しになったなけなしの胸を両手で隠して、目の前の色気だだ漏れな男を睨みつけた。

「セレンのばか、変態!」
「おれ、いろ巴が考えてる百倍はえろいと思うよ」
「は!? どういうこと?」
「分かんないなら、確かめてみて」

 唇に、セレンの唇が軽く押し当てられる。
 睫毛が触れ合いそうな距離で、焦がれるような視線をうんと浴びると喉が小さく唸った。
 だめだ。
 セレンが好きすぎて、もう一ミリも勝てる気がしない。
 諦めにも近い気持ちで微笑みを返す。
 きっとこうしてセレンに振り回されることは、これから先も変わらずにずっと続くんだろう。
 けれどそれも悪くないかもな、なんて幸せな未来に思いを馳せながら、わたしはゆっくり目を閉じた。
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