日替わりケーキとおしゃべりタイム

ラムレーズンアイス

「準備してる間、お酒割る用に炭酸買ってきていい?」

私の家の前について、車を降りると、井上くんが近くのコンビニを指差した。

「うん。準備できたら降りてくるね」

「オッケー。焦らなくていいから」

井上くんは、私が車の扉を閉めると、コンビニへと車を走らせた。

私は自分の部屋へと行き、お泊まり用に荷物を整理する。

明日の出勤用の服も必要だよね。化粧用品も忘れないようにしないと。

井上くんの家から、出勤することを想像すると、気恥ずかしくなってくる。

そして、さっき言われた

〝真剣に考えてる〟

という言葉を思い出し、再び胸がドキドキしてしまう。

将来のことって…ことだよね…。

熱を帯びる両頬を手で包み込む。

今まで付き合ってきた男性に、こんなに胸がドキドキしたり、キュンとする言葉をかけてもらったことがない私には、免疫がない。

ブーッ ブーッ

スマホが振動し、手にとって画面を開くと、珍しくお姉ちゃんからのメールだった。

「イタリア旅行かあ…。人生満喫してるなあ」

添付してあった画像は、イタリアの景色をバックに、超イケメンなイギリス人の旦那様とのツーショット写真。

あっ

文面の1番下に書いてある言葉に、手が止まる。

お盆休みに合わせて、日本に来るんだ…。

実は、私はちょっとだけ姉のことが苦手。

なんでもできちゃうお姉ちゃんから見たら、私は要領が悪くてイライラする存在らしく、小さい頃から結構怒られていたから。

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