カクテル
軽く考えていた、今までキスは単なる愛情表現の一つで完結していて、その先はまた別のものだと考えていた。
「よしレッスン終わり、圭悟、飲もう」
「何のためのレッスンですか、、」
「圭悟をいい男にするためでしょ!」
わー怖、
店に入りいつもの席に落ち着くと、マスターが近寄って嬉しそうに話し出した、
「麻理さん、どうなりましたか?」
「マスターのおかげで、別れる事ができました」
「そうですか、それは重畳、重畳
君嶋さん、麻理さん今日は私の奢りですから」
マスターは余程嬉しかったみたいだ。
「ほんとに? やったー」
「麻理さん飲み過ぎないようにお願いします」
「硬い事言わないの」
僕が冷たい眼差しで彼女を見つめると
ご都合主義の麻理さんは、それを無視した。
一時間後、
楽しいはずのバーの一角は、案の定麻理さんの独壇場に変わっていた、
「圭悟、、飲み過ぎちゃった、、」
「だから、最初に注意しました!」
「なんか嬉しい時はお酒が進むよねー」
「悲しい時も、疲れた時も同じように飲んでますけどね、、」
「そうかなぁ? 私の言い方が悪かった?
嬉しい時は、 特に、 お酒が進むよねー」
「特にが追加されただけです、と言うか特にと言うことは飲み過ぎたという事ですから」
「なんか、圭悟冷たいねー、私の事キライ?」
でたー、このパターンでいつも嵌められるから、
「・・・・好きですけど」
「やだぁー、マスター聞いてるよ」
自分で言わせて置いて、よく言いますね。
「圭悟、また眠たくなっちゃった、」
「僕がいるから大丈夫ですよ、帰りますか?」
「うん、お願い、、」
こんな風に甘える麻理さんは、別人のように感じる、
麻理さんの魅力はそこにある気がしていた。
美人で仕事ができて高嶺の花に見える時もあれば、
か弱くて、誰かが支えていなければ儚く消えてしまいそうな時もある。
しかも、計算された言動ではなくて天然なところが、更に男を惹きつける、
相反する性格を併せ持つ彼女は、ミステリアスで男を惑わす小悪魔的な女性だ。