迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
その男性は意味が分からないようで、蓮に真っすぐ向き合うように立った。
「蓮、俺に分かるように説明してくれ。」
すると、蓮はその男性の威圧感に怯えたような表情をしながら話を始めた。
「僕が全部悪いんだよ…実はね…」
蓮は自分がシャワーを出したまま寝てしまった事、家じゅうが水浸しになった事、下に住んでいる私の部屋に水漏れをさせてしまった事、すべて正直に話をしたのだ。
蓮は話を終えると、深くその男性に頭を下げた。
「兄さん、だまって部屋を借りてごめん…でもそこに居る唯さんを追い出したりしないで欲しい。」
すると、その男性は蓮の肩をポンと叩き笑顔を向けた。
「蓮、やってしまった事は、もう仕方ない。でもご迷惑をかけたことにはお詫びをしないとならないな…だから頭を下げるのは俺じゃないだろ…俺も蓮の兄として責任がある。追い出すなんてするわけがない。」
蓮のお兄さんは蓮の頭に手を置いて、私の前で頭を下げさせた。
そして、自分も深く私に向かって頭を下げたのだ。
「知らなかったとはいえ、申し訳ない。弟の蓮が大変ご迷惑をお掛けしてしまい、兄としてもお詫びをしたい。」
私は頭を下げる二人に向かって慌てて声を出した。
「あ…ああの…もう頭を下げないでください。私こそ蓮君のお兄さんの家と知りながら勝手に着いて来たし…でも、明日の朝には出て行きますから…だから、それまでここに置いていただけませんか。」