迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。


「唯ちゃん、ゲストルームの布団とか用意してくるね…適当に座ってゆっくりしてね。」


蓮は忙しそうに廊下を歩いて行ってしまった。

ゆっくりと言われても、こんなに豪華な部屋ではどうしてよいのか分からないほどだ。
しかし、立っている訳にもいかないので、見るからに柔らかそうなレザーのソファーに腰を下ろした。
ソファーは思った通り柔らかいが、沈み過ぎず適度な弾力があり、とても快適な座り心地だった。
思わず深く座り、脚をパタパタと子供のようにしていると、カチャリと部屋の戸が開く音がした。
蓮が戻って来たのだと思い、声を出した。


「蓮くん、このソファーすごく座り心地いいね!」


すぐに蓮の返事がない。不審に思い入り口の方向に振り向いてみる。


「き…きみ…誰?」


そこに居たのは蓮ではない。
蓮よりもだいぶ年上の感じがする男性が、驚いた顔で立っていたのだ。


「あ…あの…ええと…私は…蓮くんから…」


何と説明してよいのか分からず、その男性に向かって言葉を詰まらせていると、そこへようやく蓮が走って来たのだ。


「に…兄さん…どうしたの?いつ日本へ帰って来たの?」


慌てる蓮に向かってその男性は、少し怒った表情をする。


「蓮!おまえにこの部屋は自由に使って良いと言ったが、女性を連れてくるために使って良いとは言ってないぞ…どういうことだ。」


その男性に向かって蓮は“兄さん”と言っている。
だとすれば、この家の家主ではないのだろうか。
私は慌てて立ち上がって声を出した。


「あの…違うんです。私は今日、蓮君と初めてお会いしたばかりです。」


言い方が悪かったようだ。さらにややこしい事になりそうだ。


「蓮、なおさら悪い。会ったばかりの女性を連れて来たという事か?」


私と蓮はその男性に向かって同時に声を出した。



「誤解です!!」
「違うよ!!」






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